大学院講義

【デジタルアーカイブ原論】
2018年度 学際情報学府  柳 与志夫・東 由美子

 アナログ情報・デジタル情報が混在する現在、いずれの情報にも目配せをしつつ、デジタル環境を前提に学術研究の成果としての論文を作成しなければならない研究者にとって、デジタルアーカイブ構築に関する知識と技術は、論文作成の基礎的な作法として必須のものとなりつつある。
 たとえば、誰もが一度は、デジタル時代の論文作成に関することがらに悩んだことがあるだろう。具体的にいえば、紙の資料をデジタル化する際、どのようなファイル形式を選択すれば、後になって困らないか。メタデータ付与はどうすればよいか。フィールドワーク中に自分で撮影した映像やインタビューは、どう処理すべきか。すでにある画像資料や音声資料の扱いはどうか。論文やインターネット上の記事などを引用する際の出典表記方法を、きちんと押さえているか。日々行っている検索では、いったい何をどこまですくい上げているのか。情報公開時に考慮すべき権利処理はどうすべきか……、といった問題である。
 そこで、この授業では、デジタルアーカイブに関する知識と技能のうち、とくに、論文作成と公開時に必要となるものに焦点をあて、個々の問題の解決法をそれぞれの専門家による講義によって段階的に理解してもらうことを、主たる目的としている。
 また、授業時間外に、紙の資料をデジタル加工できる設備も整えたい。履修者自身が個人的に収集した紙の資料を、自分自身でごく簡単なデジタル加工を施し、素朴な形ではあるが、デジタルアーカイブを自分の手で構築してもらうことによって、既存のデジタルアーカイブやデータベースの成り立ちと限界も次第に理解できるようになるであろう。
 さらに、この分野に興味を覚えた履修者に向けて、論文作成のレベルを超えた、我が国のデジタルアーカイブの将来的展開に関する知見を得る機会も設けたい。
 一連の体験を通して、21世紀のデジタル知識基盤社会を生き抜く知見を養うことが、この授業の最終目標である。

下記、当講義の宣伝用PDFとなっております。是非ご覧ください。
デジタルアーカイブ原論ポスター