ラウンドテーブル「デジタル公共文書を考える-公文書・団体文書を真に公共財にするために-」の開催(2021/1/12)

 

2019年6月に開催された「アーカイブサミット2018-2019」の第2分科会「『官』に独占された『公文書(official document)』概念を捉え直す」の議論を受け継ぎつつ、デジタル庁設置やオンライン教育の拡大などが打ち出されている社会状況を前提に、デジタルアーカイブ論の視点から「デジタル公共文書(digital public document)」という概念の意義とその展開の可能性を考える出発点としての公共的議論の場を設定することにいたします。

その背景には、今後のデジタル環境の整備を見越して、これまで行政や企業・団体で行われてきた資料や情報の「保存と廃棄、デジタル化活用」の問題があり、一方で日々大量に産出されるデジタル情報の保存と活用をどうするかという問題があります。この問いの対象は、立法府・司法府の記録、政策決定に至るまでの官僚のメモや与野党間の協議書類のみならず、企業や大学、またシンクタンクやNPO等の民間セクターまで広がる、ガバナンスの公共性をデジタル環境下にどのように担保していくかです。利用者(市民、企業人、研究者等)の視点から、公共的に利活用可能な形で蓄積されるべき「デジタル公共文書」を、新しい知識や社会生活、産業を生み出す源泉とするための方策を考えることは喫緊の課題と思われます。

このような問題意識の下に、多様な価値観を前提としつつも、デジタル公共文書は従来の公文書と対比しながらどのような要件で設定できるか、その明示的決定プロセスは構築可能か、それを最大限社会的に利活用できる仕組みをどのように保障するかについて、関係者が一堂に会して議論することといたします。

 

<実施概要>

◆日時:2021年1月12日(火) 15:00~17:30

◆主催:東京大学大学院情報学環 DNP学術電子コンテンツ研究寄付講座

◆後援:デジタルアーカイブ学会(予定)

    デジタルアーカイブ推進コンソーシアム(DAPCON)

◆形式:ラウンドテーブル

◆参加方式:オンライン視聴(無料、事前申し込み)

◆プログラム

(1) 趣旨説明  柳与志夫(東京大学):5分

(2) 基調講演 「ガバナンスにおけるデジタル公共文書の意義」
   御厨貴(東京大学名誉教授):30分

(3) 話題提供:各5分
  ①デジタル公共文書はどのような要件として設定できるか
  ②その明示的決定・管理プロセスは構築可能か
  ③それを最大限社会的に利活用できる仕組みをどのように保障するか

(4)討議:社会インフラとしてのデジタル公共文書:90分

<登壇者>

  • 生貝直人(東洋大学):法的側面からみた公共文書
  • 加藤諭(東北大学):大学と公共文書
  • 長坂俊成(立教大学):災害記録の公共性
  • 林和弘(科学技術・学術政策研究所):オープンデータと公共文書
  • 福島幸宏(東京大学):MLAと公共文書
  • 三木由希子(情報公開クリアリングハウス):公文書問題の現在
  • 山川道子(プロダクションIG):企業運営と公共文書
  • 山本唯人(法政大学大原社会問題研究所):コミュニティと公共文書
  • 司会:吉見俊哉(東京大学)

 
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