大学院講義

2020年度 学際情報学府 4990300 デジタルアーカイブ原論  福島 幸宏

アナログ・デジタルの資料や情報が混在する現在、双方に目配せをしつつ、デジタル環境を前提に学術研究をすすめなければならない研究者にとって、デジタルアーカイブの構築や利活用に関する知識と技術は、分野に関わらず研究の基礎的な技能として必須のものとなりつつある。
例えば、紙の資料をデジタル化する際、どのようなファイル形式を選択すればよいか。メタデータ付与はどうすればよいか。フィールドワーク中に自分で撮影した映像やインタビューは、どう処理すべきか。すでに図書館や博物館、研究室で運用されている画像資料や音声資料の扱いはどうか。web資源を引用する際のルールや表記方法を押さえているか。日々行っている検索では、いったい何をどこまですくい上げているのかについて、きちんと理解しているか。成果公開時に考慮すべき権利処理はどうすべきか。その課題は多岐にわたる。
そこで、この講義では、デジタルアーカイブに関する知識と技能を、それぞれの専門家による講義によって段階的に理解してもらうことを、主たる目的とする。
さらに、この分野に興味を覚えた履修者に向けて、我が国のデジタルアーカイブの将来的展開に関する知見を得る機会も設けたい。一連の体験を通して、デジタル知識基盤社会を生き抜く知見を養うことが、この講義の到達目標である。

共通科目コード Common Course Code GII-WS6123L1
開講学期 Semester S2
開講時限 Period 水曜5限、水曜6限
単位数 Credits 2
学年 Academic Year M1 M2 D1 D2 D3 D4
他学部聴講 Open to other faculties 可 YES
教室 Classroom 図書館研究所学部等 学際情報学府本館2階教室
授業使用言語 Language in Lecture 日本語 Japanese
講義題目 Title デジタルアーカイブ原論/ Principles of Digital Archive
授業計画 Schedule

1回:63 水/Wed 5:イントロダクション(授業の概要、目的、評価方法などの説明)

     福島幸宏(東京大学 大学院情報学環 特任准教授)

     前沢克俊(東京大学 大学院情報学環 客員研究員)

2回:63日 水/Wed 6:未来のためのデジタルアーカイブ 

     吉見俊哉(東京大学 大学院情報学環 教授)

3回:610 水/Wed 5:デジタルアーカイブのシステム論

     原田隆史(同志社大学大学院 総合政策科学研究科 教授)

4回:610日 水/Wed 6:デジタルアーカイブと権利処理

     数藤雅彦(弁護士)

5回:617日 水/Wed 5:デジタルアーカイブの過去と現在、そして世界

     時実象一(東京大学 大学院情報学環 高等客員研究員)

6回:617日 水/Wed 6:基盤としてのデジタル地図・地理空間情報

     瀬戸寿一(東京大学 空間情報科学研究センター 特任講師)

7回:624日 水/Wed 5OCRと情報検索

     井関貴博(東京大学 大学院情報学環 客員研究員)

8回:624日 水/Wed 6:デジタルアーカイブの産業論

     長丁光則(デジタルアーカイブ推進コンソーシアム事務局長

          東京大学 大学院情報学環 特任教授)

9回:71日 水/Wed 5:画像資料の取り扱い

     嘉村哲郎(東京芸術大学 芸術情報センター 助教)

10回:71日 水/Wed 6:映像資料の取り扱い

     宮本聖二(ヤフー株式会社 エグゼクティブ・プロデューサー

立教大学大学院 教授)

11回:78日 水/Wed 5:文字資料の取り扱い

     福島幸宏(東京大学 大学院情報学環 特任准教授)

12回:78日 水/Wed 6:データサイエンスとデジタルアーカイブ

     大向一輝(東京大学 人文社会系研究科 准教授)

13回:715日 水/Wed 5:地域資料の発掘と展開

     井上透(岐阜女子大学 文化創造学部 教授)

14回:715日 水/Wed 6:デジタルアーカイブの政策論(総括)

     柳与志夫(東京大学 大学院情報学環 特任教授)

授業の方法 Teaching Methods 講義、質疑応答、レスポンスシートへの記入など
成績評価方法
Method of Evaluation
質疑応答などへの参加度、レスポンスシートの提出回数と内容の充実度などから総合的に判断する。
教科書 Required Textbook 適宜指示する。
参考書 Reference Books NPO知的資源イニシアティブ編. デジタル文化資源の活用-地域の記憶とアーカイブ. 勉誠出版, 2011

NPO知的資源イニシアティブ編. アーカイブのつくりかた-構築と活用入門. 勉誠出版,2012.

渡邊英徳. データを紡いで社会につなぐ-デジタルアーカイブのつくり方. 講談社, 2013.

NPO知的資源イニシアティブ編. これからのアーキビスト-デジタル時代の人材育成. 勉誠出版, 2014.

福井健策・吉見俊哉監修. アーカイブ立国宣言. ポット出版, 2014.

岡本真・柳与志夫責任編集. デジタル・アーカイブとは何か-理論と実践. 勉誠出版, 2015.

時実象一. デジタル・アーカイブ最前線. 講談社ブルーバックス, 2015.

柳与志夫編. 入門デジタルアーカイブ. 勉誠出版, 2017.

福井健策監修・数藤雅彦責任編集. 権利処理と法の実務. 勉誠出版, 2019.

今村文彦監修・鈴木親彦責任編集. 災害記録を未来に活かす. 勉誠出版, 2019

井上透監修・中村覚責任編集. 自然史・理工系研究データの活用. 勉誠出版, 2020.

柳与志夫. デジタルアーカイブの理論と政策. 勁草書房, 2020.

吉見俊哉. 知的創造の条件. 筑摩書房, 2020. (5月刊行予定)

履修上の注意
Notes on Taking the Course
授業の概要や評価方法について詳細な説明を行うため、履修希望者は第一回の授業に出席することが望ましい。 授業計画は進行状況によって変更することがありうる。